AIで書かれた文章を自然な日本語に修正する方法
生成AIにブログ記事やメールを作ってもらうと、短時間で整った文章ができあがります。ところが読んでみると、どこか堅い。説明は丁寧なのに、誰が書いても同じような文章に感じることがあります。
原因は、文の長さや接続詞だけではありません。必要以上に付けられた「」や、「アプローチ」「最適化」「多角的」といった言葉の使い方も関係しています。今回は、AIの下書きを自分の言葉に近づける修正方法を、具体例とともに紹介します。
1.AIが書いた文章の特徴
AIの文章には、文法が正しく、構成も整っているという長所があります。一方で、一般論が続く、似た言い回しが繰り返される、何でも少し大げさに説明するといった傾向が見られます。
例えば「効果的なアプローチを取り入れることで、生産性の向上を実現できます」という文。意味は通じますが、結局何をすればよいのかがわかりません。「毎朝、今日やる仕事を三つ書き出すと、作業に取りかかりやすくなります」と書いたほうが、読む人には伝わります。
ただし、特定の言葉があるからといってAIが書いたとは断定できません。大切なのは、書き手や読み手に合った表現になっているかです。
2.AIの文章によく現れる言葉を言い換える
まず注目したいのが、抽象的な言葉とカタカナ語です。便利な反面、続けて使うと中身が薄く感じられます。
① アプローチ・ソリューション・プロセス
- アプローチ → 方法、やり方、取り組み方
- ソリューション → 解決策、対処法
- プロセス → 手順、流れ、過程
「新しいアプローチを検討する」なら「別の方法を考える」で十分な場合があります。ただし、専門分野で意味が定まっている用語は、無理に置き換える必要はありません。
② 活用・最適化・効率化・実現
- AIを活用する → AIを使う
- 作業工程を最適化する → 作業の順番や担当を見直す
- 業務効率化を実現する → 作業にかかる時間を減らす
- 円滑なコミュニケーションを促進する → 連絡を取りやすくする
「活用」自体が悪いのではなく、何をするのかが見えないことが問題です。「AIを活用して効率化する」より「AIに会議メモを整理してもらう」と書けば、読者はすぐ試せます。
③ 重要・効果的・不可欠・大きな可能性
「非常に重要です」「極めて効果的です」「必要不可欠です」と強調しても、理由がなければ説得力は増えません。
「情報の確認は重要です」を「公開前に日付と数字を確かめましょう」と直すと、読み手が取るべき行動が明確になります。効果を示す根拠がないときは、断定を避けることも必要です。
④ 多角的・包括的・本質的・ニーズ・インサイト
こうした言葉も、文脈によっては意味がぼやけます。「多角的な視点から検討する」なら「費用、手間、安全性の三つを比べる」。「ユーザーのニーズを把握する」なら「利用者が何に困っているかを聞く」と具体化できます。
「シームレス」「パーソナライズ」「クオリティ」「コンテンツ」なども同じです。読者が普段使わない言葉なら、「途切れず使える」「一人ひとりに合わせる」「品質」「記事や動画」などに直してみましょう。
3.「」を付けすぎない
AIが書いた文章では、普通の言葉まで「」で囲まれることがあります。
修正前
「AI」を「活用」する際は、「目的」を明確にし、「適切な指示」を出すことが「重要」です。
修正後
AIを使う前に、何を作りたいのか決めましょう。指示には、読み手や文章の長さを入れると伝わりやすくなります。
かぎ括弧は、会話、引用、特に区別したい言葉などに使うものです。目立たせるために何度も付けると、かえって読みにくくなります。専門用語を初めて説明するときには役立ちますが、同じ語を出すたびに囲む必要はありません。
4.決まり文句を削る
AIの文章では、「現代社会において」「さまざまな場面で」「〜と言えるでしょう」「〜することが可能です」といった表現も目立ちます。
例えば「生成AIは、現代社会においてさまざまな場面で活用されていると言えるでしょう」は、「生成AIは、メールの下書きや資料の要約に使えます」と短くできます。
また、「まず」「次に」「さらに」「加えて」「最後に」が毎段落にあると、説明が機械的に聞こえます。順番を示す必要がないところでは、思い切って削りましょう。「本記事では〜を解説します」「いかがでしたでしょうか」といった定型文も、記事の内容に合わなければ不要です。
5.文末の単調さと敬語を整える
「〜です」「〜できます」「〜が重要です」が何度も続くと、文章が平坦になります。一文を短くしたり、具体例を間に入れたりして、リズムを変えましょう。
修正前
AIは便利なツールです。文章作成の効率化に役立ちます。初心者にもおすすめです。
修正後
メールの書き出しに迷ったら、AIに下書きを頼むのも一つの方法です。最初から完璧に仕上げようとせず、出てきた文を自分で直してみましょう。
敬語も相手に合わせます。社内の同僚への連絡なら「ご確認いただけますと幸いでございます」より「確認してもらえると助かります」が自然なこともあります。自然な文章とは、必ずしもくだけた文章のことではありません。
6.一般論を具体的な説明に変える
言い換えだけでは、文章の中身は充実しません。抽象的な説明が続くときは、「誰が」「何を」「どうする」を補います。
例えば「AIを利用すれば業務の負担を軽減できます」より、「打ち合わせのメモをAIに整理してもらい、議事録のたたき台を作る。最後に発言内容を自分で確認する」と書くほうが実用的です。
実際に試してよかったこと、困ったこと、直した部分なども加えれば、自分ならではの記事になります。ただし、試していない方法を体験談として書いたり、AIが作った数字を事実として載せたりするのは避けましょう。
7.AI自身にAIっぽさを直してもらう
修正作業にもAIを使えます。ポイントは「自然にして」とだけ頼まないことです。例えば、次のように依頼します。
修正用プロンプト例
以下の文章を、一般読者向けの自然な日本語に直してください。
「アプローチ」「最適化」「多角的」「重要です」などの抽象的な表現は、意味が伝わる平易な言葉に置き換えてください。不要な「」、接続詞、過剰な敬語も減らしてください。
内容や事実関係は変えず、です・ます調を保ってください。専門用語が必要な箇所は残してください。新しい事実や体験談は作らず、修正した主な箇所と理由も示してください。
修正後は元の文と比較します。AIが読みやすさを優先するあまり、意味を変えたり、根拠のない具体例を足したりする場合があるためです。
8.最後は人の目と耳で確認する
仕上げに一度、声に出して読んでみましょう。息継ぎしにくい長文、同じ言葉の連続、急に堅くなる箇所が見つかります。チェックするのは次の五点です。
- 「」を必要以上に使っていないか
- カタカナ語や抽象語を具体的にできないか
- 接続詞と文末が繰り返されていないか
- 読者が行動をイメージできるか
- 日付、数字、出典、固有名詞は正しいか
生成AIが書いた文章を自然にする近道は、難しい表現を足すことではなく、不要な言葉を減らし、必要な情報を補うことです。まずは「アプローチ」を「方法」に変えるところからでも構いません。最後に自分の言葉で読み直すひと手間が、伝わる文章につながります。
