概 要
反応しない練習
「反応しない練習」は草薙龍瞬さんによる著書で、仏教の教えを基にした悩みやストレスを軽減する方法を提案しています。
本書では、感情の反応をコントロールすることが、どのように心の平穏をもたらすかについて具体的に示しています。
また、私たちの心の反応が出来事の見方を変えることを強調し、感情に振り回されない生き方の重要性を説いています。
心の反応と悩みの関係
私たちは悩みを量産することに関しては、熟練したスペシャリストです。
様々な悩みはすべて心の反応から始まっています。
つまり、悩みの始まりは心の反応が先にあり、心がつい動いてしまうことこそが悩みを生み出している原因なのです。
嫌なことを言われても嫌なことだと反応しなければ悩みません。
同じ状況でも心の反応によって気持ちは全く変わります。
悩みを根本から無くすには無駄な反応をしないということが必要です。
無駄な反応をしない方法
ラベリング
では、どうやって心が反応しないようにするのでしょうか?
心が反応しない為には、心の状態をきちんと見ることが重要です。
それには心の状態を言葉で確認することが有効です。
もし、苦手な人の前で緊張してしまっていたら、そこで「私は緊張している」と自身の状態を言葉に出して確認します。
自分の気持ちを客観的に確認することを仏教の世界ではラベリングと言います。
日常生活でもラベリングを行い、心の状態や身体の動作を客観的に言葉で確かめる習慣を身につけます。
言葉で確認する習慣を持つと、反応から抜け出せて心が無駄な反応をしなくて済みます。
マインドフルネス
もう1つの方法は身体の感覚を意識することです。
身体の感覚を意識することはブッダが生きていた時代ではサティと呼ばれていました。
瞑想の世界ではマインドフルネスと呼ばれています。
身体の感覚を意識することで、ストレスや疲れが溜まったときに心をリフレッシュさせることができます。
心の状態をよく見ること、そして身体を意識することで無駄な反応は止まり、心は穏やかになります。

承認欲求
他人の小さなことが目について不満を感じてしまう人は世の中に多くいます。
その悩みの正体はもっと自分を認めてほしいという承認欲求であるということです。
あなたが承認欲求で外の世界に反応すると、周りは自分の期待に応えてくれない人ばかりという発想になり、不満といった反応を自ら生み出しているそうです。
本書を読むべき人
本書にはこの他にも心を軽くする考え方が多く紹介されていて、仏教に苦手意識を抱いている人、日々の生活で強いストレスを感じている人に特に読んでいただきたい一冊です。
著者紹介
著者の草薙龍瞬さんは、僧侶としての活動に加え、著述家としても知られています。
草薙さんは1969年に奈良県で生まれ、中学を中退し、16歳で家を出て上京しました。
その後、独学で大学入学資格検定(大検)を取得し、東京大学法学部を卒業しました。
この経歴は、彼が自己の人生を自らの手で切り開く力を持っていることを示しています。
草薙さんは37歳の時、インドの仏教指導者である佐々井秀嶺さんのもとで得度し、正式に出家しました。
彼はインド、ミャンマー、タイで仏教を学び、実践を通じて得た知識を日本に持ち帰り、仏教の教えを現代社会に適応させることに情熱を注いでいます。
仏教の教えを基にした合理的な思考法を提案している草薙さんの著書は多くの人々に影響を与えています。
感 想

「反応しない練習」は心の平穏を保ち、不要なストレスから解放されるための実践的な方法を教えてくれる一冊です。
本書を読んで反応しないというシンプルな行動が、日々の幸福感にどれだけ影響を与えるのかについて改めて考えさせられました。
本書では、著者が仏教的な考え方に基づいて、私たちが普段どれほど外部の刺激に左右され、自ら心を乱してしまっているかについてわかりやすく説明しています。
日常生活の中で、仕事や人間関係、SNSなど様々な場面で生じるストレスや不安に対し反応しないことで、自分自身の感情をコントロールする重要性が説かれています。
特に印象に残ったのは、ネガティブな出来事に心が引っ張られそうになった時、まずはその気持ちをただ観察する姿勢を持つことの重要性です。
これによって不要な反応を減らし、自分の心を守ることができるということは新鮮な発見でした。
また、著者が提案する心のトレーニングや瞑想といった具体的な方法がわかりやすく、すぐに実生活に取り入れられる内容でした。
例えば、日々の雑念やネガティブな感情に振り回されそうになった時に、まず深呼吸をして冷静に自分の心と向き合うことで、少しずつ反応を減らす練習などです。
自分の感情や周囲の出来事に無駄に反応することをやめることで、心に余裕が生まれ、より穏やかな生活を送れるようになると感じました。
多忙な日々の中で、ちょっとしたことでイライラしたり不安になったりしてしまうことがありますが、日常生活で少しずつ「反応しない練習」を実践し、自分自身の心を穏やかに保っていきたいと思うようになりました。
本書は日々のストレスに悩んでいる人や、感情のコントロールに苦労している人にとって、非常に有用な指南書になると思いました。

