概 要
7つの習慣はスティーブン・リチャーズ・コヴィー (Stephen Richards Covey) 博士の著書です。
出版から35年が経過した現在でも売れ続けている大ベストセラー書籍です。
コヴィー博士は25年間もかけて成功者と呼ばれるような人々を取材しました。
さらにアメリカ建国以降の自己啓発書をもとに成功するためにはどうすれば良いかを徹底調査し、その答えを記した本となっています。
コヴィー博士は「成功を目指すならば、まず成功を支える土台となる人格を構築することが何よりも重要である」と人格主義を説いています。
人格主義とは、誠意、謙虚、誠実、勇気、忍耐などの内面的な価値を重視し、これらを成功の基盤とする考え方です。
コヴィー博士は、こうした人格的特性が真の成功をもたらすと主張しています。
人生の成功をテーマにした本は他にもたくさんありますが、人格を成功の土台に据えている点は7つの習慣の大きな特徴です。
多くの成功本に書かれているモチベーションアップやコミュニケーションスキルに関しては即効性があり、短期的に成功することはあり得るが、長期的な成功はあり得ないという考え方です。
50年後100年後でも役に立つようなかなり本質的な内容であるからこそ、概念的というか抽象的だなと感じる人もいるようです。
成功するためにはどうすれば良いかを考えている向上心あふれる方は、7つの習慣を何回も読めば、他の自己啓発書を読む必要が無いと思います。
7つの習慣
7つの習慣は「私的成功の習慣」「公的成功の習慣」「再新再生の習慣」の3つのブロックに大きく分けられます。
「私的成功の習慣」(第1~第3の習慣) で、まず自分自身が成功しなさい、そして自立しなさいと説いています。
「私的成功の習慣」で自立できたら、今度は「公的成功の習慣」(第4~第6の習慣) で自分だけじゃなくて周りの人も巻き込んでみんなで成功しなさいと説いています。
本書では自分が成功するだけではなく、周りにいる人達を巻き込んで成功することこそ真の成功だと書かれています。
みんなが幸せにならないのでは、それは成功ではないですよとコヴィー博士は言います。
みんなが幸せになったら、それでゴールだと思うのですが、コヴィー博士は1回成功したらそれで終わりではないと言います。
何度も成功するように自分をさらに磨き続けなさいと説いています。
それが「再新再生の習慣」です。
どこまでも厳しいですね。
では、最初の「私的成功の習慣」から見ていきましょう。
私的成功の習慣
第1の習慣「主体的である」
第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」
第3の習慣「最優先事項を優先する」
第1の習慣「主体的である」
「主体的である」とは自らの意思で選択し、人生の責任を引き受ける習慣です。
例えば、ミスやトラブルが起きた際に常に他人のせいにする人がいますが、これは主体性が無い人です。
一方で主体性がある人は、この点に関しては自分の責任でもあるから、次からはそうならないようにきちんと対策を考える人のことです。
主体性がある人というのは、環境のせいや人のせいにして済ませません。
自分の力で何か出来ることはないかと考えます。
自分の人生が良くなるように、可能な限り自分でコントロールしようと行動します。
第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」
「終わりを思い描くことから始める」という習慣も重要です。
人生で言えば、私たちはいつか必ず亡くなります。
コヴィー博士は特に人生においてのゴールを意識しなさいと言っています。
人生そして様々なプロジェクトやタスクに関して終わりを思い描き、そこから逆算して日々の行動を計画するという習慣です。
第3の習慣「最優先事項を優先する」
3つ目は「最優先事項を優先する」という習慣です。
自分の目標をちゃんと設定しても、その目標に近づくようなことを特に優先して取り組まないと全く意味が無いということです。
私たちに与えられた時間は限られていて、そんなに多いわけでもないです。
目標を決めたら、次はその目標に近づくために必要なことをちゃんと優先して進めていかないと目標までたどりつかないです。
物事を緊急性と重要性の軸で分けて、重要性は高いが緊急性は低いという物事に取り組む時間を多く作ることで成功に近づくとコヴィー博士は言います。
自分自身が成功すれば、今度は「公的成功の習慣」で周りの人たちも成功に導くことが目標となります。
公的成功の習慣
第4の習慣「Win-Winを考える」
第5の習慣「まず理解に徹し、そして理解される」
第6の習慣「シナジーを創り出す」
第4の習慣「Win-Winを考える」
「Win-Winを考える」とは、人間関係の中でお互いが望む結果を同時に実現する方法を考える習慣です。
自分の利益だけを追求するのではなく、相手の利益もきちんと考えることが重要とコヴィー博士は言います。
関係者全員が得する方法を常に模索して行動しないと、みんなを巻き込んで成功することは実現しません。
中長期的に継続する人間関係の基盤を作る重要な習慣となっています。
第5の習慣「まず理解に徹し、そして理解される」
相手とWin-Winの信頼関係を築くには、まず相手のことを理解して相手のWinを知ることが不可欠です。
そのためには「まず理解に徹し、そして理解される」という習慣が不可欠となります。
相手の心を開き、深い人間関係を作るためには相手の話をじっくりと聞くことが必要です。
単に情報を耳に入れるだけではなく、感情移入しながら相手の話を聞くことが重要なのです。
このことにより、Win-Winの関係を構築しやすくなります。
第6の習慣「シナジーを創り出す」
シナジーとは相乗効果であり、シナジーを通じて1人ではたどり着けない大きな成果を生み出すことができます。
「シナジーを創り出す」とは、異なる視点やスキルを持つ人々が協力することで相乗効果を生み出せるようになる習慣です。
各人の強みを活かし合うことで、より大きな成功を収めることが可能になります。
以上の6つの習慣を実践して、周囲の人達と一緒に大成功を収めてもそれで終わりではないとコヴィー博士は言います。
再新再生の習慣
第7の習慣「刃を研ぐ」
第7の習慣「刃を研ぐ」
コヴィー博士は、1度大成功できたとしても油断しないで、さらに自分を磨き続けて何度でも成功しなさいと言います。
長期的継続的に成功し続ける為には、常に「刃を研ぐ」習慣が必要となります。
「刃を研ぐ」とは、自分自身をメンテナンスする習慣です。
自分を磨きなさいと言われて、本でも読んで勉強しようかと考える人は少なくないでしょう。
しかし、知識を最新のものにアップデートするだけでは不十分で、体力面、精神面、人間関係など全てにおいて磨き続けなさいというのがコヴィー博士の教えです。
本当に厳しすぎますね。
あまりにもやることが多すぎます。
世の中で一体どれぐらいの人が7つの習慣を実践できているのでしょうか?
感 想

7つの習慣を読んで感じたことは、この本が習慣という概念を単なる日々のルーティン以上のものとして捉えている点です。
コヴィー博士は、習慣を私たちの性格や価値観に根ざしたものとし、表面的な行動ではなく内面からの変革を重視しています。
他の自己啓発書が単なる成功のためのテクニックを教えるのに対し、この本は一線を画していると感じました。
第1の習慣「主体的である」という教えは、特に印象に残っています。
多くの人が環境や他人の影響に流されがちですが、コヴィー博士はこうした反応的な生き方を脱し、自分の意思で行動を選択することが真の自立の第一歩だと説いています。
例えば、職場で人間関係や仕事の負担に悩んだ時でも、自分にできることを考え、建設的な態度で取り組むことが重要だと学びました。
また、第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」も心に深く残りました。
日常生活では、目の前の仕事や問題に追われ、本当に目指すべき目標や人生のビジョンを見失いがちです。
この習慣は「自分の人生の最終的な目標」を意識して行動することの重要性を教えてくれます。
例えば、自分の人生が終わった後にどのような人物だったと語られたいかを考え、それを基に行動することで、日々の選択に意味が生まれ、長期的な視点で物事を捉えられるようになると感じました。
さらに、第3の習慣「最優先事項を優先する」では、単なる時間管理や生産性向上のテクニックではなく、本当に大切なことに時間を使うという価値観が強調されています。
目先の急ぎの仕事ではなく、長期的に価値のあることに集中することで、人生が豊かになるという考え方は非常に共感できました。
例えば自己成長のための学習は、すぐに結果が見えなくても、長期的に大きな価値を生むものです。
この視点を取り入れることで、日々の行動に充実感が増していくと感じました。

第4の習慣「Win-Winを考える」も印象的です。
競争社会では勝ち負けが重視されがちですが、コヴィー博士は「どちらも勝つ」解決策を見つけることで、互いに満足できる結果を得られると述べています。
この考え方は、職場や家庭、友人関係において、互いを尊重しながら共に成長する関係を築くヒントになると思いました。
また、第5の習慣「まず理解に徹し、そして理解される」にも深く共感しました。
多くの人はコミュニケーションの場で自分の言いたいことを優先しがちですが、コヴィー博士は相手の立場に立ち、まず相手を理解しようと努めることの大切さを説いています。
例えば、職場で同僚と意見が衝突した場合でも、相手の考えや感情をしっかり理解することで、建設的な対話が生まれると感じました。
全体を通して、自分の価値観を明確にすることの重要性が伝わってきます。
コヴィー博士は、7つの習慣を実践することで、自分の人生の羅針盤を見つけ、それに基づいて生きることが幸福につながると説いています。
自分の行動が価値観に沿っているかを意識することで、自分自身に正直な生き方ができるのではないかと思いました。
この本では単に成功することだけが幸せにつながるわけではないということが強調されています。
日々の行動や考え方を見直し、人格を高めることが長期的な充実感や幸福感をもたらすという教えがこの本の最大の特徴であり、魅力だと感じました。

